2015/11/27

黒陶であること

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黒陶と普通の焼き物を比較します。
右の焼き物は磁器土で成形、透明釉薬を掛けて1280度の高温で焼いている。
左は 瓦用粘土で成形、耐火煉瓦で作った箱の中に籾殻と一緒に詰め850度で焼く。
同じ焼き物でも両者は 放つ雰囲気がちがう。
焼き物であることは 粘土や釉薬の焼け具合、発色、釉表面の貫入(ヒビ)の有無、光沢
など表情に表れるし、その良し悪しも作品の出来不出来に加わってくる。
また高温で焼けば硬く焼き締まるのので割れ難くはなりますが土の持ち味は後退します。
それに比べて
左の黒陶は
ただ黒の単色でそれ以上色の良し悪しを問うことはない。
りんごの姿だけを見るのには光沢とか色とか焼き物の良し悪しに付きまとうものを
排除して形を見せることに集中できる。
作品「時間の肖像」としては焼き物であると主張することは必要ないことで、
むしろ邪魔なこと、 ・・焼き物の質感とか良さを表現したいのではなく
土で作られたものであることを感じたほうが
やがて消えてなくなる時間(死)を表現するには向いている。
当たりまえだけど、粘土は焼く温度が低いほど土に近く、
温度が上がれば上がるほど土から遠ざかる。
土が窯の中で固まり始める温度は800度前後、 
黒陶の発色に適している温度は750度~850度。