2001/08/06

M先生へ リパッティとポリーニです

 

先生は以前ポリーニと他のピアニストの演奏と比較すれば
ポリーニのテクニックの凄さ、違いは分かりやすい、しかし
リパッティの あのショパンのワルツ集を聴いて
その違いがよくわからない、聞き分ける力の無さでしょうが・・・。と
話されました。

実はリパッティには変わったエピソードがあります。
彼が亡くなってからの出来事で
未発表の録音が出てきと未亡人に確認の為に聴いてもらったところ
「これは主人の演奏に間違いありません。」ということで
レコード会社は新発見と発売したところ
しばらく経ってから、リパティではない他の人の演奏と判明、
大騒ぎになったという事件です。
ポリーニとかグールドとか誰が聴いてもその人とわかるような
個性的な演奏するひとならともかく、
あまり自己出張しない控えめな演奏するひとなら
誰彼の区別付かない事も多そうに思います。
先生がそう言われるのは無理からぬことで理解できます。
リパティの奥さんでさえ区別付かなかったのですから・・。
慰めにもならないと思いますが・・・。

リパッティのショパンのワルツ集(ブザンソン告別演奏会の録音と2つありますが
ここではその前の録音だと思います。)はこんなエピソードもあります。
ある世界的に有名な指揮者に 「無人島に住むとして、レコードを一枚だけ持って行ってよろしい
と言われたらどのレコードを持ちますか?」に
「リパティのショパン・ワルツ集」と答えたそうです。
それほど魅力のあるすばらしい演奏であると・・・・。

 リパッティはよく完璧主義と評されますが
 
 ピアノを勉強する人のお手本となるショパンでしょうか・・・

 
 親戚のピアノ教師から貰った大量の
 ピアノ学習向けの教則演奏をしばらく聴いていて
 それはきちっとしてお堅い演奏で背筋をきちっと伸ばしている
 雰囲気が伝わるようで、楽譜に忠実的(たぶん)で、
 グールドのような自分の個性を出す演奏とは対照的でした。

その教則レコードのすぐ後でリパティのショパンワルツ集を聴きました。
一度試してみてはいかがでしょう・・。
これまで聴いていたリパティとはまるで違うように聞こえました。
 
特にワルツ10番ロ短調あたりは目頭が熱くなるほどで
リパティの何かが伝わってきた気がしました。
 これは感じた事で言葉でうまく説明できるものではありませが
あえて言いますと 
なんと人間味あふれていて、やさいい、
演奏では完璧主義を貫き妥協を許さなかったと言われていた人だけど
そんな人にありがちな堅苦しさは少しも感じません。
自分を律して自分に厳しく完璧主義を貫いたのだろうと思います。
それまで白黒の音像に感じていたものが
一変してカラーになった気がしました。
  
 
ショパンがイメージした演奏に最も近いのか、
と思ってしまいます。

他の演奏と聞き比べると
目から鱗が落ちる事もありいいものです。