2001/08/08

猫が家出しました。

ここの工事に使ったブルトーザーをいざという時の為に未だ敷地の端に置いています。
この猫はその中にいました。
この辺りは近くに人家が無いので(隣が700m)
よく子猫や子犬が捨てられています。
 
2013年8月になって昨夜も道路脇の草むらで見かけました。
車を止めて手を差し出しますが、
警戒心が強く近づく猫は一匹もいません。
 
この猫は骨が見えるほどに痩せこけ歩く足どりも
おぼつかない風で、空腹のあまりだったと思います。
でも皿にキャットフードを出しますと近づいて餌を食べました。
あまり警戒心が無く人慣れしている感じで、
おそらく飼い猫で迷ってここへ辿り着いたのでしょう。
餌を食べ終わると、またあのブルの中へ戻って行き、
1週間ほどこの繰り返しでした。
 
11月の寒い時で
私はその日は外の用事で工房はいませんでしたが、
猫の事が気に掛かりで夜中の10時頃工房へ来ますと工房の入り口で
私(餌)を待っている様子で、すぐ食べさせました。
そして食べ終わると暗闇の中へ消えて行きました。
あのブルの中へ行ったようです。
道にはすでに霜が降りていました。
寒いのでここにいろ、と声を掛けはしましたが
通じるわけがありません。流石に胸を突かれるようで切なくなりましたね。
 
次の日から餌を工房の中で与えるようにし、
ブランケットで寝床を作ってやると
その夜から工房で寝るようになりました。
 
写真で鼻をよく見ますと鼻水が詰まっているのが見えます。
寒いブルの中で夜を過ごしている間に風邪を引いたと思われます。
 
猫用の風邪薬や抗生物質の2週間ほど続けて与えましたが
良くはなりませんでした。
 
 
名前は、何処かに飼い主がいて名前も持っている筈ですから
勝手に名前を付けるのははばかれて、
「おい」と声を掛けていますと
工房へやってくる友人達に私が「おい」と呼ぶ理由を言いますと
「それじゃおいちゃんにしよう」とそいう名前になってしまいました。
 
それでも私は「おい」としか言いませんでしたが
ちゃんと理解してくれていました。
 
私と遭遇しなければ餓死か凍死は免れなかったでしょう。
 
雄で推定年齢は2歳か3歳。
 
人慣れしていても、媚びを売らない所や物怖じしなかったり、
卑しくなかたったりするところは。
餌も食べる量をわきまえていて、皿を空にすることはありませんでした。
明らかに人に飼われていた猫です。
 
野良猫状態では毛並みが薄汚れていて痩せて見窄らしく見えましたが
工房の中で飼うようになりますと日に日にきれいになりました。
 
お互いの生活の領域は線引きしました。
こっちへ来たら駄目だと強い口調で言いますと
この写真と同じ目や姿勢でじっと立ち止まるのす。
飼われて躾けもされているようでした。
 
2013年1月になっても鼻水とくしゃみが止まらないので
電気あんかの50wを入れてやるようにしました。
一緒の暮らしが半年経った時、
外の用事で3日工房を留守にしました。
出かける前に餌も多めに盛って置きました。
しかし戻ってみると居なくなっていて
空腹で餌を求めて出て行ったのかとも思いましたが
餌は半分ほど残されていました。
胸に穴が開いたような気分です。
 
友人達も気にとめてくれて
猫の習性は気まぐれで
そのうちふらっと帰ってくるよ、と
慰めてくれましたが・・・・
姿が消えてからもう3月になります。
 
この期に及んでは、元気で楽しく生きていてくれと祈るだけです。
 
「おい」の為にまとめ買いしたキャットフードは
この辺りに捨てられる猫の為になりますので無駄にはなりませんが
と言いましても
敷地内で猫を見かけますと
器に盛って出して置くのですが
殆どをカラスや狸、イタチに食べられてしまします。
人の愛情を知らないできた捨て猫は警戒心が強く近づいてくれません。
 
 
動物を物扱いにする人が絶える事はなさそうです。
人と同じに魂、心、感情を持っている事を考えて欲しいものです。
残念です。
 
 
先生の家に泊めてもらった時の朝、
あの柴犬のごん太の行動を昨日の事のよう思い出し
今でも胸が熱くなります。
 
客間に寝ている私に遠慮して
あの朝吠えなかったあの事です。
「朝6時には散歩に行く習慣で、トイレも必要なので
その時になると決まって吠えて私を呼ぶのに
今朝は珍しくクンクン泣くだけで、こんな事は初めてです。
こいつは古川さんの事を起こしてはいけないと気遣っているのですよ。
賢いやつですから、」
と、聞かされたとき、
犬の思慮深さ、思い遣りは人と変わらない事を知りました。
 
犬にもよります。
我が家のトイプードルのひじきは我が身が一番で
ゴン太ほど人の事を思い遣ってくれません。